<<前のページ | 次のページ>>


2008年8月1日(金)
No.KS405−052
8月の社長メッセージ
「高調波知的劣化診断システム」が工場の危機を救う   〜問われる安全管理、遅れる対応〜
先月29日の早朝に新日鉄八幡製鉄所で火災が発生し、マスコミは一斉にこの工場火災を産業事故として報道しました。火災は原料のコークスを搬送するベルトコンベヤー付近から発生し、この影響で同製鉄所の生産は停止、コークス工場再開の目途は立っていません。この製鉄所では、2000年以降今回を含め4度も似たような火災を起こしています。「点検は頻繁に行っている」と現場責任者は説明していますが、高炉が止まるほどの火災を頻発させた事実は重く、周辺住民や取引先企業、地場企業への影響を考えると、今以上の安全管理が問われるべきだし、点検の有り方自体を見直す必要があると言えます。原因は調査中としながらも、ガス配管からのガス漏れやモータの過熱も取り沙汰されており、早急な対応が望まれます。
経済産業省が200312月に発表した「産業事故調査結果」でも、設備・部品のリスク管理の中で、設備の劣化診断技術、余寿命診断技術、リスク評価技術(潜在的欠陥診断技術)等の開発が急務であるとしています。その中で、事故が発生した経年年数を調べると、その平均は約22.2年となっています。日本の製造業の設備年齢を調査すると、2002年時点で設備ビンテージ(平均設備使用年数)は12.0年で、米国の7.9年を上回っており、日本の設備の多くが米国の平均以上に長い経年年数を経ています。事故が発生した設備の平均経年年数が22.2年となっている状況から判断して、比較的経年年数の多い設備が事故を起こす可能性が高くなっています。しかし「産業事故調査結果」では、ヒアリング対象企業の多くが、「設備本体の設備年齢の高さと事故発生の相関関係はない」と報告しています。設備年齢の低い機器の突発事故、反対に設備年齢の高い機器の正常稼動と言った現象は、運転中における機器内部の状態を把握し、適切な対策を行うことにより、設備ビンテージが長くても事故発生が低くなると言えます。
「産業事故調査報告」の内容で特筆される点は、製造現場の安全確保について経営トップの責任において実施することの必要性を訴えていることです。必要なコストは保全活動においても適切に負担するという「健全」な経営判断を通じて、産業事故の防止に務めることが重要になります。日本の保全や保安が、現場責任として実施される傾向が強い風土を改め、経営トップの責任として保全・保安を扱うことが必要なのです。いわゆるボトムアップ型からトップダウン型への保全構造改革を推進しなければ、今回のような産業事故は後を絶ちません。

エイテックの「高調波知的劣化診断システム」によって保全技術者は、設備機器が、自らの運転状態を〔今月の花サルスベリの花言葉のように(外部に)話しかけ知らせている〕高調波信号から、設備内部の状態を把握でき、具体的対策まで瞬時に知ることが出来るのです。この保全システムにより、工場の危機を救おうという取組みが始まっていることは、今迄の安全管理の見直しや対応の遅れを解消する切り札として期待されていることに他なりません。


サルスベリ(百日紅)
 花言葉「雄弁」
                                      2008年8月1日

来月のメッセージも是非ご覧下さい
                     エイテック株式会社

2008年7月4日(金)
No.KS405−051
7月の社長メッセージ
資源の有効利用を図る「高調波知的劣化診断システム」
                                     〜地球に優しい設備再生保全はKSシリーズから〜
近年、企業においては生産設備の老朽化、機能劣化への対応が課題となっていますが、それとともに資源の節約・有効活用、省エネルギー、環境保全への対応が求められています。これらの観点から、設備・部品などを廃棄することなく、部材の健全な部分を活かし、設備そのものの性能を低下さすことのないような処置を施し、資源の有効利用を図る設備再生保全は、エイテックのKSシリーズで実現可能になってきました。
設備再生保全は、部品を使い捨てるという従来の概念をまったく捨てなければなりません。部品交換は一見簡単ですが、単に金額だけの問題ではなく、大切な資源の浪費、つまり地球温暖化の原因である二酸化炭素(
CO2)の増加につながるのです。また、大量の在庫品を抱えれば、膨大な費用が必要となるので、いかにして経費を節約するかは重大な問題となります。
高価な部品や機器を破損するまで働かせるのではなく、適切な診断器により保守管理をすることで、機能・材料・施工・設備にいたるノウハウを科学的手法によりとらえて蓄積し、高い信頼性と安全性が得られる保全技術を活用しなければ資源の有効活用はあり得ないのです。
設備再生保全は何も難しいことではありません。例えば、回転機の軸受へのグリス注入や内部の清掃(エアブロー等)、回転軸のカップリングボルトの締付け調整、ポンプやファンの羽根に付着した異物除去、歯車の噛合い調整やベルトのテンション調整なども含まれます。こういった処置を施すことにより、部材や部品の寿命を延ばすことができ、コストの低減を可能にします。

この設備再生保全の実施に当たっては、設備の状態を運転中に捉え、内部に発生している異常兆侯(潜在的劣化)の早期発見が重要であり、その原因、部位、程度を特定する診断技術が必要なのです。「高調波診断技術」は、従来の診断技術の概念をまったく変えたものであり、劣化兆侯(顕在的劣化)はもちろん、その前段階の異常兆侯も逃さずキャッチするものなので、この技術により設備再生保全が可能になりました。
設備再生保全により、部材や部品の延命率も確実に延ば
すことができます。効果的に行えば機械を止める時間も少なくてすみ、予備品をカットすることができれば経費の節約になります。長期の設備再生保全は、限られた地球上の資源節約に大きく貢献することができるのです。
人口知能搭載の「高調波知的劣化診断システム」は、設備再生保全のコアであり、地球環境との協調を図る新技術として、今後より一層の発展と更なる活用に、大きな希望が持たれています。


キキョウ(桔梗)
 花言葉「希望、協調」
                                      2008年7月4日

来月のメッセージも是非ご覧下さい
                     エイテック株式会社

2008年6月2日(月)
No.KS405−050
6月の社長メッセージ
「高調波知的劣化診断システム」は保全改革の旗手
                      〜設備保全のKS(可視化、整流化)はエイテックのKSシリーズがサポート〜
設備保全の基盤強化のためのKS(可視化・整流化)の研究は、日本プラントメンテナンス協会が重点事業として取り組んでいる課題であり、そのねらいは、「設備、プロセスの全きを保つ基盤なくして、モノづくりの改善、改革の永続的発展はあり得ない」ことを設備保全の本義と位置づけ、モノの流れの保全を構築することにあります。モノの流れの保全は、設備の保全なくしてありえません。保全を全きものにするには信頼性の高い予知保全を確立することですが、そのためには新しい保全技術への経営からの援護射撃が不可欠です。
保全に対する経営からの期待、評価を得るうえで、保全活動の結果、現在、プロセス(生産ライン)が安定な方向に向っているのか、危険な方向に向っているのかを示す「シグナル」をマネジメント層に与えることが重要です。これまでの保全活動は、ややもすると設備総合効率(設備の故障件数や不良低減など)やロス取り金額、また、あるときは設備の綺麗さなど、「結果系」のみで評価されがちでした。「保全活動は予知哲学(未然防止)」であるため、将来発生するかもしれない故障や不良(すなわちリスク)に対しても、全きを保つ活動です。すなわち保全は故障や不良低減活動ではなく、リスク低減活動なのです。従って、保全活動の結果、生産ラインやプラントが安心状態を維持しているのか?危険な方向に向いているのか?それが見えるかたちにすると「保全状態の危うさ」が評価できます。
KSは、「保全状態の危うさ」を評価するために必要な手法ですが、もともとこのKSは、現場のモノの流れを見えるように(可視化)することで、問題発見が容易になり、改善が促進され、工程からムダを徹底排除し、モノの流れをスムーズに(整流化)することを実現しようという発想が出発点になっています。つまりKSのコンセプトは、モノの流れの「見える化」です。“よく見えてわかると”、“正しい判断ができ”、“すぐに行動が生まれる”のです。このモノの流れの「見える化」とモノの流れの保全の「見える化」、ひいては設備保全の「見える化」は一体なのです。すなわち生産と保全の結合力をもっと強め一元化することがKSのキーポイントと言えます。

エイテックのKSシリーズは、人工知能搭載の「高調波知的劣化診断システム」をカバーし、設備の「保全状態の危うさ」を傾向管理グラフと数値などで「見える化」を達成させ評価できるようにしています。これにより、設備の状態を運転中に捉えることができ、内部に発生している異常兆侯、原因、部位、程度の発見が容易になり、具体的対策を立てることが可能となりました。設備保全のKS(可視化・整流化)は、エイテックのKSシリーズがサポートしており、そのコアである「高調波知的劣化診断システム」は保全改革の旗手として期待されています。
ヤマボウシ(山法師)
 花言葉「達成」
                                      2008年6月2日

来月のメッセージも是非ご覧下さい
                     エイテック株式会社


2008年5月2日(金)
No.KS405−049
5月の社長メッセージ
工場の安全管理を支える「高調波知的劣化診断システム」
                                  〜工場事故を未然に防ぐ設備保全〜
安全性に対する社会的要求が高まってきている現代において、工場の安全性確保は設備を所有する企業・事業所に最も求められる社会的責任の一つであり、ひとたび事故が発生すると企業の存続を左右する非常に大きな社会問題に発展する可能性があります。特に、化学プラントや電力、ガス、鉄鋼、石油コンビナートなどの装置産業においては、安全管理面でいくつかのアキレス腱をもっています。
第一は、高経年設備が多いことです。操業開始から30年、40年を経過した設備が多いにもかかわらず、設備の更新や建替えは、大きな投資と工期を要するために容易ではないのです。これが大きなアキレス腱の一つです。この解決のためには設備の寿命予測や異常の予見技術の開発が必要です。
第二は、設備の種類が多くトラブル形態も多様なことです。製造工程を構成する設備の種類(機種)は、回転機械、静止器を含めてとにかく多いのです。従って、機械的及び電気的トラブル(故障)のパターンも多様です。加えて原材料や中間生成物の重合による汚れや閉塞など、製造プロセス由来のトラブルも多く、これらに対応できる状態診断技術の開発も急を要しています。
第三に、定期修理/SDM
(シャットダウンメンテナンス)があります。定期的にすべての装置を停止し、点検・修理をするSDMです。このメンテナンスによって1年、最長で4年(まれに6年)の連続運転を担保しなければならないので、高度な寿命予測や予知診断技術が要求されます。しかし現状は、SDM時に正常な部品や機器までも交換するという過剰保全(繰上損失となる)に頼らざるをえないので、地球環境保全の面からはほど遠い保全と言えます。
第四は、外部環境への影響が大きいことです。危険物や有害物質を扱い、超高温・高圧、極低温など条件の厳しい装置もあり、しかも大きなエネルギーを内蔵しています。例えば、原子力発電所の高圧蒸気管が減肉して破裂した事故など、大きな社会問題となったことは記憶に新しい保安事故でした。厳しい安全管理、厳しい診断技術が求められています。
第五は、保全技術者の守備範囲が広いことです。連続操業型の生産現場では、職場面積が広大、幾層もの階層構築物の中に設置された設備群や長く多大な配管群の集中制御、パトロール、機器の切替や洗浄作業、工事の安全管理など保全技術者が扱う守備範囲が広いのです。加えて、流体の漏れ、飛散による臭いや騒音、高温多湿など職場環境の悪い現場もあります。安全、簡単、迅速、かつ設備から距離を隔てた環境の比較的良好な場所(電気室など)での設備診断を可能にする新技術が必要です。

以上のように、装置産業の安全管理は、従来の安全活動の主体である「KY(危険予知)活動」、「HH(ヒヤリハット)」「指差呼称」のいわゆる3種の神器だけでは、安全管理が徹底できず、ここにサイエンスとしての「高調波知的劣化診断システム」が工場事故を未然に防ぎ、工場の安全管理システムを構築する有力な手法として社会に定着すれば、ロスやトラブル、更に安全も良くなる新技術として、いま注目されています。「幸福」だと誰もが思える「システム」がここにあります。


すずらん(鈴蘭)
 花言葉「幸福」
                                      2008年5月2日

来月のメッセージも是非ご覧下さい
                     エイテック株式会社

2008年4月1日(火)
No.KS405−048
4月の社長メッセージ
保全の限界に挑戦する「高調波知的劣化診断システム」
                                  〜環境保全は設備や機器の寿命延長から始まる〜
2007年の大晦日、福岡県北九州市のテーマパーク「スペースワールド」で、走行中のジェットコースターの連結器が外れ、車両同士が終点近くで衝突しました。原因は連結器固定用のボルトが破損したためと見られています。また、同年5月に大阪吹田市のテーマパーク「エキスポランド」で、ローラーコースター「風神雷神U」の車軸が折れて脱線し、2両目の車両に乗っていた女性が死亡した事故がありました。これらの事故の度に問われるのが、保全のあり方です。テーマパークでの事故に限らず、最近の保全が問われた大きな事故としては、原子力発電所の高圧蒸気配管が減肉して破裂した事故、エレベータの異常動作で扉が開いたまま上昇して高校生が死亡した事故など、マスコミで報道されたものだけでも数多く発生しています。
設備や機器についての安全性を、使用開始から廃棄まで、継続的に当初意図された通りに維持していくためには、保全という技術が必要となります。しかし、保全を安全性のみの尺度で考えれば過剰保全にならざるをえないのですが、これでは保全の最終目的である「利益の最大化」は図れません。安全性を確保しつつ、設備や機器の状態を把握し、必要な対策を立てて、忍耐の限りぎりぎりまで設備の寿命を延長させる、この保全に対する高度な命題はコスト低減や生産性向上もさることながら、「環境保全」の視点から再確認され「寿命延長」に対する取組みが保全面からなされようとしています。
設備や機器は熱ストレス、電圧ストレス、機械ストレス、環境ストレスなどのストレスが加わって劣化が進行します。この劣化の進行速度は、設備の運転状態が正常か異常かによっても異なるので、設備の「寿命延長」を図るためには、ストレスや運転状態を知ることが必要となります。 寿命は、設計段階で設定した「設計寿命」と、使用段階で判定する「使用寿命」があります。「設計寿命」とは正しい使用と適切な点検整備が行われる条件のもとで、機能が維持できる期間は何十年あるいは何万時間と設定したものです。しかし、設備や機器はストレスや運転状態などの使用結果から使用期間や回数を設定する、いわゆる「使用寿命」が重要となります。この「使用寿命」の推定は、「高度メンテナンス」の一端を担う保全の限界への挑戦でもあります。

「寿命延長」のためには、設備稼働の状態把握(正常運転か異常運転かを知る)、要因解析(各種ストレスがどの程度かを知る)、状態評価(各種ストレスにより発生している部位の状態を評価する)、対策実施(給油や点検、異物除去、回転体のアンバランス対策など)が必要となります。
そのためのツールとして、設備診断データより劣化の確度を数式化した「人工知能」搭載の「高調波知的劣化診断システム」が、いま静かなブームを呼び、重要設備を有する大手企業をはじめあらゆる産業分野で活用されています


サンシュウ(山茱
 花言葉「忍耐」
                                      2008年4月1日

来月のメッセージも是非ご覧下さい
                     エイテック株式会社

2008年3月1日(土)
No.KS405−047
3月の社長メッセージ
「高調波知的劣化診断システム」は保全のコア・バリュー
                                  〜d-Value(診断の価値)が永遠の存在となるために〜
コア・バリューとは「中核となる価値感や本質」と定義され、「見えざる経営資源」とも言えます。見える経営資源は有限ですが、見えざる経営資源は無限の可能性を秘めています。コア・バリューの存在しない理念や活動は必ず短命化します。それは新しい価値を創造するパワーがないことを意味するからです。保全もコア・バリューがなくてはなりません。なぜなら、保全の最終目的が「利益の最大化」にあるためで、企業経営に直接関係する問題だからです。
エイテックのコア・バリューは、「
dValue(診断の価値)」の追求によって顧客に感動を与え、社会の適者を目指す(エイテックの経営理念)ことです。「d−Value(診断の価値)」は設備保全の「予知哲学(未然防止)」が根源にあります。「予知哲学(未然防止)」とは「ロスを切り口とした真の儲ける保全」なのです。保全とは手段であり、その目的は管理対象設備の信頼性の確保です。信頼性とは、与えられた条件で規定の期間中、要求された機能を果たす能力です。つまり、定められた期間中に故障・不良を未然に防ぎ、要求された生産量を決められた時間内に達成することで、この信頼性を確保する手段が保全であると言えます。
設備の故障ロスや不良ロスを防ぐためには、保全の3要素である「劣化を防ぐ」、「劣化を測る」、「劣化を復元する」を確実に実行しなければなりません。特に「防ぐ活動」は「予知哲学(未然防止)」というコア・バリューでもあります。故障・不良を防ぐには、故障・不良という結果の現象を管理対象とすると実現はできません。故障・不良の発生要因(例えば塵埃や水分、過熱による劣化など)を管理する「要因系管理」と、これらの発生要因が時間の経過とともにその形を変えて、故障・不良の直接的原因へと成長する変化の過程を管理する「傾向管理(プロセス管理)」が必要となります。つまり、「要因系管理」と「傾向管理(プロセス管理)」を行うことにより、故障・不良を未然に防ぐことができます。故障・不良の前兆である異常や劣化を放置せず、常に管理状態におかなければなりません。

「予知哲学(未然防止)」の理念は、ロスを減らすだけに終止せず、ロスを未然に防止するシステム、いわゆる「要因系管理」と「傾向管理(プロセス管理)」が可能なシステムの構築と運用を強調しているのです。これが保全のコア・バリューとなるもので、まさにKS−3000シリーズによる「高調波知的劣化診断システム」は「儲ける企業体質づくり」の原点であり、dValue(診断の価値)はその中核で永遠の存在になるものなのです。


沈 丁 花 
花言葉「永遠」
                                       2008年3月1日

来月のメッセージも是非ご覧下さい
                     エイテック株式会社
2008年2月1日(金)
No.KS405−046
2月の社長メッセージ
「高調波知的劣化診断システム」でロス・リスクの最小化を目指す
                                  〜企業の永続的な経営を可能にする戦略的予知保全〜

日本プラントメンテナンス協会が提唱するMOSMSMaintenance Optimum Strategic Management System:戦略的保全マネジメントシステム)の構築には、「高調波知的劣化診断システム」が不可欠と思われます。
この
MOSMSの考え方は、今後の保全の有るべき姿を示すものです。すなわち保全の最終目的は、利益の最大化にあり、経営が取り組む問題として保全を考えなければならないということです。従って、経営と保全が同じ土俵に立ち、企業の戦略に基づいて、ロス・リスクを最小にする「保全のグランドデザイン」を描く必要があります。ロスとは過去に発生した事象の結果が顕在化したもの、またその損害であり、リスクとは未来に発生し得る事象で、現在は潜在しているもの、またその事象に予測される損害です。すなわち、同じ原因から発生して顕在化したものがロスであり、潜在しているものがリスクなのです。保全が企業の経営戦略と一体化するためには、経営的に合理性のある計画がつくられ、その「計画主導」で保全が実行されなくてはなりません。「計画主導の保全」であるためには、経営のPDCAサイクルと保全のPDCAサイクルを連動させる仕組みをつくらなければならないのです。
MOSMSが目指しているものは「企業全体の最適化を図る保全の仕組み」であり、MOSMS構築とは全体最適の仕組み構築です。ここで、企業の全体最適を考える機能とはすなわち「経営」であり、この意思を具体化するものがマネジメントといえるので、企業全体のレベルで保全を実行するには当然、経営マネジメントとしての保全の仕組みが必要ということになります。

企業の永続的な経営を可能にするには、生産ライン停止などによる機械損失ロス・リスク、労働災害ロス・リスク、産業災害ロス・リスク、環境安全ロス・リスクおよびコンプライアンスなどの法的ロス・リスクなどのロス・リスクを最小にしなければなりません。
「高調波知的劣化診断システム」はMOSMS実践の保全システムであり、「ロス・リスクの最小を」図る戦略的予知保全技術といえます。


 万両   花言葉「明日の幸福」
                                      2008年2月1日

来月のメッセージも是非ご覧下さい
                     エイテック株式会社
2008年1月7日(月)
No.KS405−045
1月の社長メッセージ(年頭の挨拶)
2008年度エイテック標語3E 〜「環境保護、設備保全、電力節約に挑む!」〜
新年あけましておめでとうございます。
 昨年迄のエイテックの標語は3K(2004年)、3P(2005年)、3M(2006年)、3S(2007年)など人の心を対象としたものですが、今年より社会・経済の有り方を対象として話したいと思います。

 2008年。地球温暖化防止へ向け世界は新たな一歩を踏み出しました。先進国に温室効果ガスの削減を義務づけた京都議定書の約束期間(2008年から2012年)に突入するとともに、その先の2013年以降の枠組み作りでも世界は大きくかじを切っています。7月の北海道・洞爺湖サミットで日本は議長国として、低炭素社会の実現へ向け具体的な道筋を付けなければなりません。環境立国としての真価が問われる一年です。政府は、日本の温暖化対策の基本方針となる「新・京都議定書目標達成計画」を今年3月にも閣議決定します。日本は温室効果ガスを90年度比6%減らさなければなりませんが、2006年度の速報値では基準年を逆に6.4%上回っており、現在の対策だけでは、2010年度に二酸化炭素(CO)換算で2000万トンから最大3400万トンの不足が確実になっています。この不足分を埋める新たな対策を盛り込んだのが「新・計画」です。この対策の柱は「自主行動計画」に基づく産業界の削減対策強化や、排出増に歯止めがかからないオフィスや家庭など民主部門の省エネ規制強化にあります。世界最高水準の省エネ効率を誇る日本の産業界は、これまでも積極的に削減対策に取り組んできましたが、対策の進捗管理について、今後一層政府の関与が強まることは確実で、環境保護のための温暖化対策は企業経営の最重要課題に浮上してくるものと思われます。
 また、原油価格の高騰(07年1月に1バレル=54ドル程度だったのが現在は約100ドルと1年で2倍近く上昇)は、あらゆる産業分野に影響を及ぼし、企業収益を圧迫しています。そのため工場設備の更新も先送りされ、高度成長時代における大量導入設備の経年劣化の問題を解決するには、より効率的な戦略性を有する設備保全技術を必要とする時期を迎えていると言えます。今、日本の工場設備は老朽化による無言の悲鳴を上げながら生産を続けているのです。予知保全による設備対策は温暖化対策と並ぶ企業経営の重要課題なのです。

 2008年は「新・計画」元年。当社は「環境とエネルギー設備のエンジニアリング」を中核とした環境ビジネス(エコビジネス)を手掛けており、その中で、電気設備機器診断器KSシリーズは、環境への負荷の軽減(節約)、いわゆる省エネ診断や、設備の稼動状態を環境保全形、いわゆる電力バランスのとれた(電力の節約)状態に変えうるサービスを提供しています。
 以上のような観点から、今年のエイテックの標語は3Eとしました。
すなわち、
 Environment:環境(環境保護)
 Equipment :設備(設備保全)
 Economy  :節約(電力節約)

おわりに、皆様方のご健康とご多幸をお祈り申し上げ年頭の挨拶とさせて戴きます。




 
     乙女椿
  
花言葉
  「気取らない優美・魅力」
                                     2008年1月7日 

来月のメッセージも是非ご覧下さい                  

                      エイテック株式会社
2007年12月3日(月)
No.KS405−044
12月の社長メッセージ
「高調波知的劣化診断システム」で高品質生産 〜設備の異常・劣化診断からモノづくり診断へ〜
 第39回技能五輪国際大会が2007年11月15日〜18日の4日間、46カ国・地域から選手816人の参加のもと日本の静岡県で開催され、日本は「金16」(銀5、銅3)を獲得しトップとなり「モノづくりニッポン」を世界に知らしめました。“モノづくり”の基本は「魅力ある製品を素早く、魅力ある品質とコスト」にありますが、社団法人日本プラントメンテナンス協会発行の月刊誌「プラントエンジニア」の2007年12月号に掲載されていた「設備診断技術の深化」の中で、設備故障の状況と故障予知の可能性についての調査報告がなされています。それによりますと、設備機器の44%は故障予知が不可能で、新しい診断技術の開発が必要と報告しています。一方、56%は、最新の計測器により異常兆侯を捉えれば、故障予知が可能としています。“モノづくり”に必要な診断、いわゆる「モノづくり診断」は、各種診断技術で検証し、可能性のある技術を抽出して、抽出した技術を製品・部品の出来映え保証や工程品質の作り込みに活用するのです。このように診断技術の検証と活用により、100%に近い品質保証や工程能力向上(生産性向上)が図られ、高品質な“モノづくり力”が向上し、利益創出が可能になるのです。 「モノづくり診断」は、設備の内部に発生している異常兆侯、原因、部位、程度を定量的に明らかにするCDT(状態診断技術)が確立され、故障予知が可能になると、製品・部品の高品質生産のためのネットワーク化とシステム化が図れ、品質・生産状態まで監視できる総合システムが構築できるのです。
「高調波知的劣化診断システム」は単なる故障診断システムではなく、実稼動している設備・部品の劣化度合いや、劣化の進展速度を求めることができ(予知)、人工知能搭載システムのためむずかしい診断解析が不要で、診断精度も検証データを積み重ねることにより、100%に近づける可能性を有しています。さらに、従来の保全では、設備の異常兆侯に対して具体的対策を立てる正解がなかなか見つかりませんでした。場合によっては、運転条件変更などにより正解そのものが途中で変わってしまうこともあります。そのため設備の故障予知がむずかしかったのですが「高調波知的劣化診断システム」は、こういった課題にも対処しうるもので、「モノづくり診断」への道を切り拓く高品質生産の実現を目指しているのです。
ピラカンサ花言葉「燃ゆる想い」  ヤツデ  花言葉「固い絆」
                                    2007年12月3日 

来月のメッセージも是非ご覧下さい                  

                      エイテック株式会社
2007年11月5日(月)
No.KS405−043
11月の社長メッセージ

「高調波知的劣化診断システム」で廃棄物削減 〜高度メンテナンスを支える予知保全〜
「高度メンテナンス」という言葉を時々耳にしますが、その始まりは1980年代の英国におけるサッチャー改革にあります。現在でこそ、設備のO&M(Operation and aintenance)は珍しくなくなりましたが、そのきっかけは欧米で始まった公共事業の民営化にあります。「ゆりかごから墓場まで」と言われた手厚い社会福祉政策を誇ってきた英国ですが、時代とともに、膨大な公共事業費が政府財政を圧迫するようになりました。この状況を打開するために行われたのがサッチャー改革で、この改革では、それまで公共事業として行われてきたごみ焼却や、鉄道、発電といった官によるサービスにメスを入れ、社会インフラ事業に民間活力を導入する、いわゆる「民活インフラ」が、設備稼働後のO&Mという新しい保全分野の有り方を示すメンテナンスモデルを確立していったのです。
 高度メンテナンスに含まれる内容は、設備の予知保全、環境対策、O&MシステムのIT化などですが、経済産業省も保全を重視し始めています。その理由は、保全によりプラントや設備機器の長寿命化が実現されれば、このことにより廃棄物の削減が見込まれ、環境重視の社会が作られるからです。
 経済産業省の外郭団体で、プラントメーカーやエンジニアリング企業など約190社により構成される、財団法人エンジニアリング振興協会では、2004年度に「高度メンテナンスのあり方委員会」を発足、2006年度までの3年で、高度メンテナンスの検討を行い、その結果の報告では「高度メンテナンスを適用することにより産業・社会資本を長寿命化し、寿命を2倍に延長できれば、2035年には64%、2億4700万トンの産業廃棄物の削減が見込まれる」と見通しています。
 廃棄物の削減技術は「地球環境対策」につながるものであり、グリーンテクノロジーと位置付けられています。ここで必要なのは、空調機や自動車など様々な製品が製造から消費・使用、廃棄に至るまでの“生涯”にわたって環境への影響を評価するライフサイクル・アセスメント(LCA:Life ycle ssessment)が欠かせないものなのです。
自動車を例にとれば、生産、使用、廃棄の各段階で地球温暖化の原因である二酸化炭素(CO)を排出します。運転中にガソリンを燃やして発生するCOが全体の約70%、生産で約20%を占めていますが、修理や廃棄など運転以外の過程で排出されるCOも約5%と無視できないものです。道路の建設や維持でもCOが約5%発生します。これら全てを足し算して総量を評価し、COの排出抑制につなげるLCAの考え方が高度メンテナンスには必要なのです。 「高調波知的劣化診断システム」はグリーンテクノロジーの一つで、廃棄物の削減につながる高度メンテナンスシステムであり、いま社会が必要とする保全技術であると言っても過言ではありません。
紫式部 花言葉「聡明」

                                    2007年11月5

来月のメッセージも是非ご覧下さい

                              エイテック株式会社
2007年10月1日(月)
KS405−042
10月の社長メッセージ 
「高調波知的劣化診断システム」で偶発故障抑制  〜予知保全でPDCAサイクルを回そう〜
 PLAN(計画)、DO(実行)、CHECK(評価)ACTION(改善)を示すPDCAサイクルは生産性向上や品質改善のためのシステムとしてよく知られています。まず管理のための計画を策定し、それを実行する。そして実行された結果を評価し、問題があればそれを改善するというのがPDCAサイクルのフローです。
 保全の場合は、保全計画(PLAN)を立案し、それを実行(DO)、そして確認(CHECK)があり、必要に応じて修正・見直し(ACTION)が行われなければなりません。同じ設備の停止でも、偶発的に停まるのと、計画的に停止するのとでは、生産に与える影響が大きく異なります。故障や事故で生産が急に停まってしまうよりも、予知保全を計画的に実施して工場の稼動を停めない方が、生産計画が立てやすいということには論を待ちません。シャットダウンメンテナンス(SDM)のように、比較的長期間にわたって工場ラインの稼動を停めるようなことがあっても、予め計画された稼動停止であれば、そのための代替生産などで対応できます。そのためには設備の状態を把握し、的確な保全計画を立て、それを実施し、評価、さらに改善を実施すれば、ブレイクダウンメンテナンス(BDM)はもとより、時間計画保全(TBM)のような決められた時間に行う設備保全以上に効率的なメンテナンスが実現でき、保全コストの削減や偶発故障の抑制、生産ライン全体の効率向上にもつながるのです。
 従来、設備トラブルの発生は初期故障―偶発故障―摩耗故障の三つのモードを経て寿命にいたる「設備経年数と故障発生率の関係」、いわゆるバスタブ曲線を前提としていました。しかしながら、実際に保全周期はさまざまな部品のなかで最も寿命の短いものに支配されるため、一律の周期で定期保全を続けていくと一般に過剰保守の傾向となります。そういった状況の中で、保全思想を変える一つの報告がなされています。それはアメリカのボーイング社でボーイング747型機の開発期に行われた調査結果です。その結果では構造体を除く電気・機械部品の89%が時間に依存しないトラブル発生傾向が示され、「時間計画保全には根拠がない」と報告していることです。
 また、この報告を受け経済産業省でも2003年12月に「産業事故調査結果の中間取りまとめ」には、「ヒアリング対象企業の多くが、設備本体の設備年齢の高さと事故発生に相関関係はないとしている」と記述されています。このことは従来の「故障」に対する考え方が問われるもので、偶発故障を無くすための予知保全技術の開発が強く望まれているゆえんです。
 このような中で、「高調波知的劣化診断システム」がいま静かなブームを引きおこしていることは、極めて的を得たもので、このシステムがPDCAサイクルを有効に実施するツールとして広く普及することを願っています。

曼珠沙華(彼岸花)
花言葉「また会う日を楽しみに」
                                            
                                                      2007年10月1日
来月のメッセージも是非ご覧下さい
                             エイテック株式会社

2007年9月1日(土)
KS405−041
9月の社長メッセージ 
「高調波知的劣化診断システム」で経費削減  〜進化する保全技術が時代を変える〜
 米国のEAM(設備管理)システムベンダーのインダス・インターナショナル作成の「保全の進化」によれば、保全を事後保全(BDMBreakdown Maintenance)やTBMTime Based Maintenance:時間基準メンテナンス)と、予防保全(PvMPreventive Maintenance)、予知保全(PdMPredictive Maintenance)に分けています。
 1980
年代の保全は、故障や事故の発生後に手を打つ事後保全と各機器の運転時間に応じたTBMが中心で、受動的保全といわれるものでした。しかし90年代に入って効率的で無駄の無い保全が求められるようになると、計画保全手法としてRCMReliability Centered Maintenance:信頼性重視メンテナンス)、RBMRisk Based Maintenance:リスク基準メンテナンス)などの概念が取り込まれるようになり、能動的(プロアクティブ)保全といわれる予防保全が採用されるようになりました。
 そして今後は診断・分析保全としての予知保全の時代になります。こうした変化は、予知保全の導入による経済的効果が大きいためにもたらされたのです。つまり保全技術の進化に伴い保全費も確実に下がっています。アメリカのオートメーション関連の調査会社ARCアドバイザリーグループによれば、一例として「石油パイプラインのポンプを予知保全したケース(事業規模:年間3億ドル)で年間350万ドルの経費節減に成功した」と報告しています。これは、事業規模(生産規模)の約1.2%の経費節減になります。特に、石油やガスのようなプロセス産業、化学プラント、電力産業などでは重要設備が多く、予知保全による経費節減は生産規模(売上高)の約1%に当たるとしています。
 かつて日本は「今、正常に稼動しているものにコストは費やさない」という風潮がありましたが、一度事故を起こせば失うものは大きく、200412月に経済産業省が発表した「産業事故防止に向けた取組の進捗状況に関する調査について」において、損失額は売上高の45%にも達することが明らかにされています。また、特にCSR(企業の社会的責任)が重視されている昨今においては、予知保全のための投資は必要経費であり、この経費を考慮しても保全費削減による経費節減効果は大きいのです。21世紀は予知保全の時代であり、KS3000シリーズによる「高調波知的劣化診断システム」は進化する保全技術が生み出した時代の寵児とも言えるのです。
木槿(ムクゲ)
花言葉「信念」
  
                                                   2007年9月1日
来月のメッセージも是非ご覧下さい
                             エイテック株式会社