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2007年8月1日(水)
KS405−040
8月の社長メッセージ 
「高調波知的劣化診断システム」は保全の名医  〜ヒューマンエラーを無くす保全技術〜
 2003年12月に経済産業省が発表した「産業事故調査結果の中間取りまとめ」は産業界に大きなショックを与えました。
工場事故などの産業事故が増加の傾向にあるというのは、誰もが薄々感じていたことなのですが、「産業事故100件中、76件が人的要因、つまりヒューマンエラーで起こっている」という客観的データは驚くべきものでした。
産業事故の原因で最も多いのがヒューマンエラーという事実は、機械のオートメーション化が進んだと言われるものの、工場現場ではまだ、多くの人間が働いている事を反映しています。そして、属人的な要素によって、工場現場の安全が確保されている現実も浮かび上がっています。もし診断機械やITなどの技術を駆使して安全が確保されていれば、産業事故の原因としてヒューマンエラーはそれほど多くはならなかったはずです。
 こうした中で最近「かつては診断機械よりも人間の判断力が優れていたが、最近は診断機械の判断力の方が確かだ」という声が聞かれます。センサー技術の進歩や新しい診断システムの開発、IT技術の普及などにより、技術的に工場の安全を確保することが可能になりつつあります。
「高調波知的劣化診断システム」KS−3000シリーズは、「フィードフォワード型」の保全システムとも言えます。これに対し「フィードバック型」とは、よく耳にする用語ですが、これは@顕在化した劣化・損傷対応、A過去のデータに基づく予防保全、そしてB部分的なシステム化に基づく予防保全、の三つが主な機能です。事後保全ではないのですが、あくまでも過去のデータを元に対応されています。これが「フィードフォワード型」になると、きめ細かく網羅的に部位・部品までを管理対象として、全ての該当する劣化要因メカニズムを論理的に解析し、管理限界値(寿命)の設定と予測を行い、重要項目を明確化します。つまりきめ細かな診断により設備の状態を把握し、対策を立案していくのです。従って、「フィードフォワード型」の保全は、いわゆるCDT(状態診断技術)による予知保全であり、ヒューマンエラーを少なくするシステム技術なのです。KS−3000シリーズは、システムそのものに学習能力があり、診断精度を高めていきます。
 この保全システムは医者に例えることができます。人間ドックなどで検査を行い、検査結果から状態を診断します。異常値があれば、それを改善するための処方箋や生活指導があります。処方箋通りに薬が服用され、栄養指導通りに生活改善がなされているかもチェックされます。もしそれが実行されていなければ別の方法が考えられることもあります。「高調波知的劣化診断システム」も、実施することは人間ドックとほぼ同じ流れです。
 まず設備診断があり、診断により状態を把握したうえで、対策を盛り込んだ保全計画を立案します。まさにこのシステムは保全の名医なのです。

  
                                                    2007年8月1日
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2007年7月2日(月)
KS405−039

7月の社長メッセージ 
地球環境保護は「高調波知的劣化診断システム」から  〜設備保全は地球環境問題の切札〜
 産業事故の増加とともに、CSR(企業の社会的責任)やコンプライアンス(法令導守)を重視する傾向が強まるのに伴い、保全にも光が当たるようになってきています。
 経済産業省が200412月に発表した「産業事故防止に向けた取組の進捗状況に関する調査について」でも、製造業が、従来以上に事故や保全を意識している状況が浮かび上がっています。
 この保全規模(市場)ですが、どの程度の大きさかを知るところから、地球環境問題に影響する割合が類推できます。「保全」というと、設備や施設に付随する地味な存在に思われるかもしれませんが、産業設備のみならず社会インフラや公共施設、さらには一般住宅のリフォームまであり、定量的に把握するのは難しく、的確なデータが無いのが実態です。
 そんな中で参考になる調査の一つに、20033月に財団法人エンジニアリング振興協会がまとめた「産業・社会資本構造物に関する廃棄物のリデュースのための高度維持管理・メンテナンスシステムの構造報告書」の事例があります。この構造報告書の中で、2000年時点の日本国内の保全規模は31兆円と推定されています。31兆円の内訳は、16兆円が産業設備関連維持補修費で、15兆円が建設関連維持修理費です。報告書によれば製造業の製造設備の維持・補修費用に一部更新投資を含んだ保全費と合わせ13兆円。さらに、電力・ガス・運輸・通信関係の関連更新費の合計は2.5兆円。さらに、分散型発電設備や熱源空調設備の保全規模0.37兆円を加えると、ほぼ16兆円になります。
 一方、日本プラントメンテナンス協会は毎年、設備保全費の推計額を公表しています。2003年度については、設備保全費の総計7.3兆円、維持補修投資額の合計4兆円で両者を合計した広義の保全費用は11.1兆円と推計されています。いずれのデータでも、製造業及び社会インフラを対象とした、保全規模は10兆円をゆうに超えています。この規模は最近の産業事故の増加やCSRを重視する社会的風潮によりまだまだ拡大するものと思われます。

 この保全規模の中で、設備保全費約7兆円が妥当な費用であるかどうかを考えてみますと、現在の保全方式(事後保全、予防保全)ではあまりにも無駄が多いと言わざるをえません。
 アメリカの調査会社ARCアドバイザリーグループによれば、「事後保全で10かかっていた保全費は、予防保全で5、予知保全で1に軽減できる」と発表しています。つまり現状約7兆円を50%削減し3.5兆円程度にすることは、予知保全を行うことにより可能な数値なのです。ここで、いま3.5兆円を全て電気量換算で扱い(1KwH19円とする)、温室効果ガスをCO2で換算しますと約11600万トンになります(1KwHCO2換算7.685トン)。
 一方、20052月に発効された「京都議定書」による日本の温室効果ガス削減目標は、90年比で6%を20082012年に達成が義務付けられています。
 しかし、
2007年現在既に8%増になっており、このままだと14%を削減する必要があります。この14%は、CO2換算で約16500万トンとなり、設備の予知保全を行い、日本全体で3.5兆円保全費を削減すれば、CO2は現段階でも9.8%減らすことができるのです。
 地球環境保護の見地からも、「高調波知的劣化診断システム」による「予知保全」を実施し、「保全の構造改革」を進めなければならないのです。
  
                                                            2007年7月2日
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2007年6月1日(金)
KS405−038

6月の社長メッセージ 
資産管理としての「高調波知的劣化診断システム」  〜危機を救う保全技術〜
 日本で「保全」と言うと、修理や修繕といった「直す」というニュアンスが強いのです。では、「直す」とは何か。辞典には「曲がったこと・乱れ・間違いなどを本来の正常な状態に戻す」、「物や人をしかるべき場所・位置にすえる」などの意味が記されています。つまり「直す」とは正常な状態へ戻すことを意味しています。つまり日本の「保全」の基本的な意味は、人や物をかつてあった姿に戻すことなのです。
 しかし製造業がひとたび事故を起こせば、装置や機器の修繕費以上に大きな被害をもたらすのは、工場が停まることに伴う機会損失です。このため、経営的視点だけで判断すれば、工場にとって、事故を起こさないことよりも操業を停止させないことが重要なのです。もちろん事故を起こせば、近隣住民に迷惑をかけ、ひいては社会的信用を失うことになります。最近のようにCSR(企業の社会的責任)が重視される時代にあって、事故で失うものは、修理や修繕に費やすコストだけではありません。事業機会や社会的信頼なども失う可能性があります。場合によっては、長年にわたって獲得してきた市場や顧客までも失うことだって十分に考えられます。
 つまり製造業にとって最も重要なことは、安定的な操業を維持することです。これを実現するために、保全を従来通りに元の状態に戻すための「修理・修繕」と捉えるだけでは不十分です。操業を停めないために、日頃から生産設備をいかに管理するかが重要なのです。このため最近ではPAM(Plant Asset Management)やEAM(Enterprise Asset Management)という用語が使われるようになっていますが、それぞれの用語を直訳すれば、PAMは「プラント資産管理」、EAMは「企業資産管理」となります。つまり最近では、保全は「修理・修繕」ではなく「資産管理」という概念で捉えられるように、時代が変化しているのです。

 工場という製造業の資産を効率よく活用することは、ROA(Return on Asset:総資産利益率)の改善にもなり、企業経営の効率改善にも意味を持ちます。事故などで生産が停まるような事態になれば、結果的にROAを悪化させることになり、企業収益を圧迫しかねません。つまり保全は従来のような事故が起こった時の「修理・修繕」ではなく、生産性の向上手段と捉えるべきなのです。このことはとりもなおさず「壊れたら直す」というような従来の考え方ではなく、「壊さないように、運転する」、更に一歩踏み込んで「事故を起こさないように、リスクをコントロールする」という考え方が必要なのです。
 そのために部品や機器の異常・劣化状態を個別に傾向管理し、必要な時期に検査や交換を行う診断システムの確立が焦眉の急なのです。「高調波知的劣化診断システム」は、機器の予知保全を可能にし、工場事故という危機を救う保全技術として、社会の要請に応えるものと確信しています。             

                                                        2007年6月1日
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2007年5月2日(水)
No.KS405−037

5月の社長メッセージ
「高調波知的劣化診断システム」による保全理念   〜経営判断としての保全〜
 社団法人日本プラントメンテナンス協会が2005年5月に発表した「2004年度メンテナンス実態報告書」には、「設備保全予算の決定基準」に関するアンケート調査結果が掲載されています。
 それによれば、保全予算の決定基準で最も多いのが「前期の保全費実績」で、回答の76.3%を占めています。「件名別保全計画の積み上げ」が46.3%、「生産量に対する一定比率」15.2%、「売上高に対する一定比率」41.1%などがありますが、「特に基準はない」も10.0%あり、保全費の予算決定について、明確な根拠を持っているケースは意外に少ないのです。工場事故が多発するのに伴い、保全への意識は一部では変わりつつあるものの、その実態はまだ十分なものとはいえません。「ひとたび事故を起こせば、その影響が甚大なものになる可能性がある」ことは分かっていても、工場が順調に稼働してさえいれば、問題は先送りにされているのです。
 もともと保全は削りやすいコストの一つでした。つまり順調に稼働している工場については、トラブルなく稼働して当たり前で、その工場の稼働を維持するために必要な先端的設備診断器の購入などにはコストをかけようとはしないのです。
 しかし本当の意味での良い経営とは、工場事故などに伴うリスクを軽減して、健全な体質を構築することであって、事故発生のリスクを野放しにしておいて、やみくもな経費削減で財務体質を改善することばかりが良い経営とはならないのです。「工場事故はなくて当たり前。ひとたび事故を起こせば、書類送検されたうえに逮捕される可能性だってある」と、ある保全担当者は言っています。予算を確保するために経営と衝突し、やっと確保した予算で事故もなく稼働させたところで、なかなか感謝はされません。はっきりいって、こんな部署には誰も行きたがらないのです。「保全部門から社長に昇りつめた人材はいない」とも言われるほどです。

 このような日本の保全の現実を見て、フランスのユーティリティ関連のメンテナンスを一手に手掛けるダルキア社のディレクターは「保全は生産と同様に重要である」と言っています。日本では生産に偏向する考え方が、保全の社会的認知度を下げてしまったといえます。本来、保全は製造業の根幹である生産ラインに直接的に関わるものです。従って、このラインに関わる判断を下すのは、経営でなくてはなりません。にもかかわらず、日本の保全の状況は長期間にわたり、経営不在の状況が続いてきたのです。
 これまで、保全は現場に委ねられすぎました。このため経営による保全現場への介入には、当初は反発があるかもしれません。しかし安全や保全について、経営が参画する姿勢を見せることで、保全への意識は全社的に変わるはずです。
 企業の永続的発展には、「経営理念」とともに「保全理念」が必要だと思います。そのためには、従来型の保全技術だけに拘泥するのではなく、不幸な工場事故を無くすための新しい保全技術への取り組みが「保全理念」に盛り込まれ、セフティーカルチャー(安全文化)を定着させなければなりません。その切り札となるエイテックの「高調波知的劣化診断システム」が、いま飛翔の時を迎えようとしています。

                                                        2007年5月2日
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2007年4月2日(月)
bjS405−036

4月の社長メッセージ 
「高調波知的劣化診断システム」が築く安全文化   〜保全の社会的認知度を高めよう!〜               
 日本の多くの企業では、保全問題は現場任せで、経営不在の状態にあります。しかし最近では、保全の問題を経営問題として捉える傾向が出始めています。例えば、経済産業省の原子力安全保安院は関西電力美浜原子力発電所3号機の最終報告書で「(設備の安全を確保するための保全には)人員、組織、資金などの経営資源を再配分することが必要であることから、経営者層が主体となって取り組んでいくことが不可欠である」と指摘しています。
 現場だけで安全のための保全が確保されるわけではなく、経営責任としての保全が重視されるように変わらなければなりません。工場の保全は現場任せという時代は徐々に終わろうとしています。保全の熟練技術者はリタイヤの時期を迎え、これからは入社以来、モニターばかり眺めてきた世代が工場の安全を守る保全を担当することになります。
このような環境になると現場任せでは、事故はなかなか減少しません。現場の安全を確保するうえでも、経営と保全は切り離すことができないのです。

 製造業とは、工場を操業し保全を的確に行い、安全操業を確立して初めて「一人前」と言えます。にもかかわらず、日本の製造業は保全に対する配慮が乏しいのです。つまり保全の社会的認知度が低いと言えます。重要な役割を果たしているにもかかわらず、殆んど意識されていません。また、保全は製造業のみならず社会インフラやビルなどの施設にも必要です。
 鉄道が円滑に走行し、ライフラインが正常な状態を維持し、発電所が順調に稼動して電力が供給される。これらが可能なのは、すべて保全が滞りなく、行われているからです。社会を円滑に動かし、安全を確保するうえで保全は不可欠な要素なのです。保全は社会全体にとって重要なのです。従って、社会全体で安全文化が作られるべきだと思います。「保全は製造と同様に重要」と言い切れる社会を作り出すことが望まれます。
 安全は、工場の現場だけで維持されるものではありません。社会全体で作り出すものです。その安全文化が社会全体に広がれば、経営効率を重視する中で、結果的に安全が軽視され、事故に至るようなことも減少するはずです。
 安全文化を育て、保全を重視する社会を作ることが大切です。つまり保全の社会的認知度を向上させる必要があるのです。そのためには従来の保全技術の問題点を解決し、ユビキタス時代に相応しいIT活用型の「高調波知的劣化診断システム」KS−3000シリーズが、安全文化を築く保全の革命児であると言っても過言ではなく、このシステムが広く社会へ普及することを願って止みません。

                                                           2007年4月2日
                              
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2007年3月1日(木)
KS70301

3月の社長メッセージ
危機を救う「高調波知的劣化診断システム」   〜保全の構造改革で老朽化設備を救おう〜
 「先進国で最も老朽化した工場が稼動する」、「いつ、どのような甚大な工場事故が勃発しても不思議ではない」。最近、日本の工場がこんなふうに形容されることが珍しいことではなくなっています。日本の高度経済成長を支えてきた装置産業の工場は、1960年代後半から70年代初頭にかけて「第一期」とも言える建設のピークを迎えています。その後の工場建設のピークは1990年前後のバブル経済時期に訪れますが、第一期に建設された工場は今、稼動から30〜40年ほどの経年年数にあり、老朽化による無言の悲鳴を上げながら、生産を続けています。工場事故件数は、表面化したものだけでも1999年度が94件にすぎなかったものが以後増加し、2000年度121件、2001年度190件、2002年度280件、2003年度383件、2004年度483件と年々ハイペースで増加しています。
 世界に冠たる、製造立国であると同時に技術立国として反映してきた日本の技術面における信頼性には、抜群のものがあったはずです。しかし、設備の老朽化や無理な稼動に起因し、工場は軋み、これからどのようなトラブルに見舞われるか、このままでは予知が困難な状況になっています。工場がひとたび事故を起こせば、工場を操業する企業は言うまでもなく、付近住民や得意先に多大な影響を与えます。事故を起こせば、その企業は社会的信用を失い、莫大なコストを支払わされます。日本の製造業は伝統的に保全を軽視してきたツケを払わされているのです。
 今ここで、従来型の保全思想を変えなければ、日本は世界から孤立しかねません。日本型保全は現場の発意によるボトムアップ型であるのに対し、欧米では管理者の発意によるトップダウン型の保全が実施されており、事故や災害に対する考え方についても、日本と欧米の間に差が生まれています。欧米では、「災害ゼロ」から「危険ゼロ」へと考え方が変わってきています。
 有名なハインリッヒの法則では、1件の重大事故の背景に、29件の軽傷事故と300件の「ヒヤリ、ハッと」があるとされています。即ち、1件の工場事故の背景には300件の「ヒヤリ、ハッと」があるのです。設備保全をする場合、人間の五感の方が汎用の診断器よりも優れていると言われることもありましたが、今はそのような時代ではなく、データにより裏付けられた「科学としての保全」が必要なのです。保全は、1980年代以前の事後保全、90年代以降には予防保全の時代を経て、最近では予知保全の時代に入っています。この進化に伴い保全費も確実に下がっているのです。アメリカのオートメーション関連の調査会社ARCアドバイザリーグループによれば「事後保全で10かかっていた保全コストは、予防保全で5、予知保全で1に軽減できる」と発表しています。
 まさに「高調波知的劣化診断システム」は、低い「保全への意識」を変革させ、大きな経済的効果を創出する起爆材になりうるものであると確信しています。
 

                                                            2007年3月1日

                               
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2007年2月1日(木)
bjS70201

2月の社長メッセージ
電気設備診断の統一理論を目指して!   〜イノベーションで保全改革〜
 イノベーションという言葉が広がりを持ち始めました。従来「技術革新」や「革新」と訳されていました。いま政府が検討中の戦略指針「イノベーション25」は、世の中のさまざまなモノや仕組みにこれまでにない技術や考え方を採り入れ、新たな「価値」を生み出すことを目指しています。その結果、社会に大きな変化をもたらすことが広義のイノベーションです。
 その意味で、「高調波診断技術」はまさに従来の「保全」を変えるイノベーションといえます。
 高調波診断技術は、電気設備の状態を運転中にとらえ、内部に発生している異常兆候、原因、部位、程度を明らかにして、その異常兆候に対して具体的対策を立てて修正する極めて高度な技術です。この技術はCDT(Condition Diagnosis Technique:状態診断技術)予知保全システムに属する先端技術と言えます。
 電気機器には直流機、変圧器、同期機、誘導機、整流器など多くのものがありますが、これらの機器は電気巻線や絶縁体などの要素からなる電気系と、ベアリングや回転軸、構造体などの要素をもつ機械系とで構成されています。
 電気機器の統一理論とは、簡単に言いますと電気系および機械系を結び合わせる理論体系で、個別機器に対する抽象的一般理論とは異なり、電気系と機械系を同一の基本系に還元できるもので、相互関係が具体的に表わせ明確になります。
 電気設備の診断理論は、機械系では振動理論に代表される振動計測法、電気系では例えば放電理論に代表される部分放電法など、理論体系の異なった多数の測定法があります。従って、測定法により電気系と機械系の理論が異なるため、それら相互間の関係を知ることが出来ず、機器の異常原因を究明し、適切な対策を講じることが困難でした。
 しかし、高調波診断理論は電気系、機械系とも同一の理論体系で構成されるため、従来法では知ることができなかった機器の状態診断を可能にしました。つまり、電気設備診断法を根底から変える「革新技術」と言えます。
 高調波診断技術は、まさに「イノベーション25」にマッチしたもので、今後の発展が期待できダイヤモンドの輝きを放つ日も遠くないと思います。この高調波技術によるKSシリーズが多くの産業分野で広く活用されることにより、社会貢献できる技術になることを願ってやみません。

                                                        2007年2月1日
                             
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2007年1月5日(金)
KS70105

1月の社長メッセージ
年頭の挨拶  2007年度 エイテック標語 3 S 【迅速・気力・継続】
 新年あけましておめでとうございます。

 昨年は景況感の変化、物価変動、改正省エネ法施行というように私たちを取り巻く外部環境が大きく変化した1年
でした。
そのような中で、当社は人工知能を搭載したIT活用型「高調波知的劣化診断システム」KS−3000シリーズを商品化し、保全の構造改革を訴え、マスコミでも取り上げられて大きな反響を呼んでいます。しかし、2007年1月1日付の業界紙は、挙って今年はイノベーションの年であることを強調し、産業界トップのインタビュー記事の特集を見ても「効率的な生産性の追求」、「製品の採算性追求によるコストダウン」、「安全性の確保」という文言が紙面を賑わしており、残念ながら「保全」ということについては産業界トップの誰一人として課題にしていなかったのは残念な思いがしました。産業の基盤は「保全」により成り立っていることを再確認して戴かねばと強く感じた元旦でした。

 2007年問題が始まり、京都議定書2008年へのカウントダウンは待ったなしにやってきました。このような厳しい社会情勢に応えるべく、当社の基本理念であるd-Value(診断の価値)による「保全の構造改革」で課題解決の先進国となり、環境・エネルギー・安全で世界に貢献しなければなりません。
 こういった背景と「高調波知的劣化診断システム」の成果を基に、今年のエイテックの標語は3Sとしました。すなわち
    Speed:スピード(迅速)→ Sensation(大評判)を呼び
    Spirit:気力(気迫)→ Steel(鋼)の如く
    Succession:継続(連続)→ Success(成功)に至る

 先ず第一はスピードです。時代の流れは早く、正にいま当社の「高調波知的劣化診断システム」が事後保全(BM)→予防保全(PM)→予知保全(PdM)→設備状態診断技術(CDT)へと保全の構造を変え、生産性向上、保全費の削減、安全性向上の切り札にしなければならないのです、それも一時も早くスピーディーに。
 第二は気力です。今の危機的社会環境情勢を何が何でも改革し、安倍首相が目指す「美しい国」を「希望の国」にするという気迫が必要です。強い意志(精神力)によって。
 第三は継続です。保全の構造改革は、場当り的、一時的なものでは達成されません。続けなければならないのです。未来を見据え、不幸な工場火災のような設備の突発事故はもう沢山です。企業に活力を与えるためにも。
 物事の成就は意志の継続が勝負です。「Where there is a will, there is a way」(意志あるところ道は拓ける)と言う言葉をもって、年頭の挨拶に替えさせていただきます。

                                                        2007年1月5日
                           
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2006年12月4日(月)
KS61204

12月社長メッセージ
「高調波知的劣化診断システム」で保全の構造改革を! 〜工場が燃える危機を救おう〜
 「高調波知的劣化診断システム」KS−3000シリーズは先月より発売を開始しましたが、予想以上の反響を呼んでいます。このシステムの内容については去る9月、10月、11月の社長メッセージで述べています。
 首題の保全の構造改革で、電気設備の突発事故が防げ、工場が燃える危機を救うことができると確信しています。経済産業省製造産業局が2003年12月に発表した「産業事故調査結果の中間取りまとめ」は、2003年8月から9月にかけて製油所火災、製鉄所火災、タイヤ工場火災が相次いで発生したことを受けて調査したものですが、その前後にも化学工場火災、自動車工場火災がマスコミでも大きく取り上げられていました。前述の「取りまとめ」において産業事故100件を対象に調査した結果、人的要因76件、設備的要因18件、不明(調査中)6件となっています。
 人的要因とは誤作動、教育・訓練の不足などを対象としています。また設備的要因とは設備の異常・劣化が主なものです。ただ、事故の発生要因を見ますと、業種によって異なり、鉄鋼では人的要因94.7%、設備的要因5.3%であるのに対し、化学では人的要因60.0%、設備的要因40.0%となっています。
 人的要因については「プラント版2007年問題」が表面化しています。「日本の保全はKKDで行われてきた」と言われています。KKDとは「勘」「経験」「度胸」の頭文字を取ったもので、経験豊富な現場エンジニアの五感に頼ってきたというわけです。例えばモータから発生する音で異常を感知したり、配管をスパナで叩いて異常を発見してトラブルを未然に防いだことも多々あるため、この技術伝承は今後難しくなってきます
 設備的要因については、従来の診断技術では機器の異常・劣化の判定に限界があり設備の老朽化(日本は先進国で最も老朽化したプラントが稼動)と相俟って事故が発生しやすくなっており、保全の最先端技術といわれているCDT(Condition Diagnosis Technique:設備状態診断技術)*の確立が急務となっています。
 このような背景の中で@生産性の向上、A保全費用の削減、B安全性確保という面でIT活用による保全技術の研究開発が進められていますが、当社はこれに呼応し、IT活用型のKS−3000シリーズを世に出しました。
 これにより、従来の保全に対する意識を変え保全の構造改革、すなわち事後保全から現在主流の予防保全、そして予知保全、設備状態診断技術へと進めなければならない保全の新時代を迎えているのです。
 この「高調波知的劣化診断システム」を利用することにより、工場火災の危機は激減すると言っても過言ではありません。このシステムが広く用いられ貴重な生産設備が焼失することのないよう願いつつ。


(*)CDTとは設備の状態を運転中にとらえ、内部に発生している異常兆候、原因、部位、程度を明らかにして、その異常兆候に対して具体的対策を立てて修正する極めて高度な技術です。


                                                   2006年12月4日

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2006年11月1日(水)
No,KS61101

11月社長メッセージ
「高調波知的劣化診断システム」が世界を駆ける! 〜環境と2007年問題の解決をめざして〜
 今日(11月1日)は「高調波知的劣化診断システム」KS−3000シリーズを発売する記念すべき日です。このシステムについては去る9月、10月の社長メッセージでも話しましたが、世界初となる電気設備の状態をインターネットで全世界と結び、機器の異常・劣化を診断し、対策までも提供する画期的なシステム商品なのです。
 この基礎となる高調波診断技術は、環境問題、2007年問題を解決する一つの技術であると確信しています。
 先ず、環境問題について考えてみますと、2005年2月に「京都議定書」が発効し、世界の多くの国が協力して地球温暖化防止に取り組むことになりました。京都議定書によると、日本の温室効果ガスの削減目標は90年比で6%、その第一約束期間となる2008年は2年後です。現状のままだと14%(CO2換算で約1億6,500万トン)以上の削減が必要となります。電力のみについて考えてみますと、日本の電力エネルギーは産業用設備で40〜50%を消費しています。そのため、特定非営利活動(NPO)法人の気候ネットワークや京都府電機商業組合、京都府などが協力して4年前から始まった京都発の省エネラベルが、国の施策「統一省エネラベル」として10月からスタートしました。このラベルの対象は、今はエアコン、テレビ、冷蔵庫などの民生用機器ですが、近く産業用機器にまで拡大していく気運にあります。例えば、電力用変圧器(油入変圧器、モールド変圧器)が、「エネルギー使用合理化に関する法律」(省エネ法)に定める特定機器に指定され、メーカーは現行のJIS製品を出荷できなくなり、省エネ基準を満たすトップランナー変圧器が義務づけられました。油入変圧器は今年4月から、モールド変圧器は来年4月からの実施となりました(モータ等もトップランナー方式が採用されると思われます)。このとき当社のKS―3000シリーズは省エネ診断に基づき省エネ手法を即座に提案するシステムであるため、全産業用電気設備(約1億kW)にこのシステムが利用されれば、省エネ効果による温室効果ガスは、CO2換算で2〜3%削減(1万kWh=CO2換算で7.685トン)が可能であると過去の実績より試算しています。
 次に2007年問題についてお話し致します。2007年問題というのは、この年以降、約300万人といわれる団塊の世代が定年を迎え、職場を去ってゆきますので、これにより経験豊かな人材を失うことで、社会への様々な影響が懸念されています。とりわけ、製造業にとってもこの問題は大きく、中でも設備の熟練保全技術者については、目や耳で設備の状態を見分けていたという側面があるため、一層事態は深刻なのです。
 しかし、KS−3000シリーズによって、これらは一挙に解決します。
つまり、設備診断のノウハウは全てこのシステムの利用により、「いつでも」、「どこでも」、「誰でも」、「簡単に」電気設備の異常の劣化が分かり、対策を施すことができるのです。
 このKS−3000シリーズは「高調波知的劣化診断システム」の先駆けであり、社会に貢献する公器であると言えます。多くの分野の方々がこのシステムを利用されることを願ってやみません。

                                                 2006年11月1日

来月のメッセージも是非ご覧下さい。
2006年10月2日(月)
No.KS61002

10月の社長メッセージ
高調波診断技術は限りない可能性への挑戦 〜「美しい国、日本」、この輝きを守ろう〜
 安部首相は9月29日の衆参両院本会議の所信表明演説で、「美しい国、日本」を強調されていました。勿論この言葉は自然の風景だけを表わしているのではなく、活力とチャンスと優しさに満ちあふれ、自律の精神を大事にする世界に開かれた国という意味ですが、私は、この言葉が表わすもう一つの側面として、「環境とエネルギーの調和により持続可能な社会を目指す」と解釈しています。
 世界は石油をがぶ飲みする消費型経済で、これ以上の発展は望めないため、環境負荷の少ない製品の導入や省エネルギーの一層の推進、脱石油エネルギーへの転換に大きく目を向け出しました。いずれの面でも世界の最先端をいく日本にとって、国内での二酸化炭素(CO2)をはじめとする廃棄物の一層の削減はもとより、地球環境にこれ以上の負荷をかけない取り組みを各国と一体になりながら、率先して進めていく必要が高まっています。

 世界の総人口が65億人を突破し、さらに毎年6000万人以上増加し続ける地球において、化石燃料を食いつぶしていく時代から大きく脱皮させていかなくてはなりません。
 京都議定書に基づき、世界各国が温室効果ガス削減を実行する第一約束期間が2008年から始まります。日本は温室効果ガスを1990年比6%削減することが義務づけられており、現状のままだと14%以上の削減が必要となります。この解決には如何なる方法があるのか?各国は今エネルギーをベストミックスして、それぞれに最も有効な手法を追及しています。
 温暖化対策はこういった取組みは当然必要ですが、今迄ほとんど試みられなかった、電気設備の効率的稼動を考える必要があると思います。これは電力の供給と消費を整合(マッチング)させる事です。つまり電力バランスをとることが必要なのです。
 当社の電気設備診断器KSシリーズは、電気設備の電力バランスがとれているかどうかを診断し解決策を提供することができるので、電力のムダつまりCO2削減を可能にするものです。特に11月より発売するKS-3000シリーズは、9月のメッセージでも話したIT活用型高調波知的劣化診断システムであるため、利用者は使用電気設備の稼動状態が即座に分かり、設備の効率よい運転をさせることができます。
 この高調波診断技術は従来にない全く新しい技術であり、この活用により廃棄物の削減、設備寿命の延長、設備の的確な状態診断を通し、「美しい国、日本」の実現に多いに貢献しうるものであり、電気設備を設置、稼動されているユーザの積極的な使用を切望する次第です。自然との調和のとれた人間社会が、くることを祈って。

                                                             2006年10月2日
    
 来月のメッセージも是非ご覧下さい
2006年9月1日(金)
No.KS60901

9月の社長メッセージ
電気設備診断に大革命〜設備診断にユビキタス時代到来〜
  当社の経営理念は、「dーValue(diagnosis Value:診断の価値)の追求によって顧客に感動を与え、社会の適者を目指します」であり、当面は電気設備診断に全力投球してゆきます。
  その中にあって、このたび当社は、世界初となるIT活用型の高調波知的劣化診断システム(KS−3000シリーズ)を商品化しました。このシステム商品は、電気設備に流れる高調波という特殊な信号により、機器の異常や劣化を運転状態のまま非接触で測定し、その診断データをインターネットを介して、当社側のサーバに送信します。いわゆるASP(Application Service Provider)通信です。当社のサーバには AI(Artificial Intelligence:人工知能)エンジンが搭載されており、約37,200件の診断データ(モータ:15,000件,負荷:15,000件,インバータ:7,200件)をもとに、科学的手法によって分析し、設備内部に発生している異常や劣化兆候、原因、部位、程度を明らかにし、設備や交換時期を割り出すとともに、具体的対策を立てその結果を「電気設備機器劣化診断AI結果報告書」として、診断データを送信側(顧客)へ数秒以内で提出するもので、これを「KS−NET]と名付けています。
  この「KS−NET]により設備診断が大きく変わりました。その特長は

(1) 設備の異常や劣化に対して、具体的な対策案を提示する世界初のハイレベル「予知保全」が可能になりました。

(2) 設備の寿命または信頼性を定量的に予測すると共に、その修正法を決定する事が出来るので、最も経済的な設備保全が実現できます。

(3) 年中(24時間,365日)リアルタイムに対応しており、携帯電話でも瞬時に設備の診断結果が表示され、次回の診断    時期も知ることが出来ます。つまり、会議中や外出先でも設備の状態が分かります。即ち、設備診断にもユビキタス時代*が到来したのです。因みに日本の総務省はユビキタスネット社会実現に向けた「uーJapan」政策の立 案に着手し、2010年を目標にインターネット時代と社会の調和のとれた理念的かつ戦略的なビジョン・政策の策定を急いでいます。まさに当社は、この「uーJapan」政策における設備診断分野でのパイオニアになりました。

(4) 人工知能の搭載により診断制度がアップします。すなわち、一度間違った判定結果を出しても、それを修正すること                 により、二度と同じ間違いをしないのです。

(5) 万全なセキュリティー対策を備えています。
例えば、データの暗号化や当社仕様による独自プロトコル(通信方式)の採用。また、不正アクセスの監視や排除など単独回線の役割をもたせている等です。


 「KS−NET」は当社の技術力を結集したシステム商品で、社会に多いに貢献しうるものと確信しています。

  (*)ユビキタス(ubiquitous)とはラテン語で「何処でも」、ubiは英語訳ではwhere,ubiqueはeverywhereに相当し、
      「何処でも」を意味します。現在、ubiquitousは「何処でも」の意味に加えて時間の同時性を加味して「いつ
     でも何処でも」の意味で使われています

                                                              2006年9月1日
 来月のメッセージも是非ご覧下さい
2006年8月2日(水)
No.KS60802

8月の社長メッセージ
「新しい企業価値観」の時代へ 〜「価格競争」の時代に入って〜


ビジネス環境が大きく変化している今、企業の存在意義が問われています。
この問に対し、富士ゼロックス且ミ長の有馬利男氏は「企業とは社会にとって有用な価値を創出し、提供することにある」と言っておられます。また、企業は「社会にとって有用な価値」を創出・提供し、その貢献の見返りとして収益を上げ、社員や投資家に報いると共に再投資してゆくというサイクルを健全に回るようにすることが、企業存続の基本条件であるとも言われています。  
しかし、健康な人間に「人生の目的」が問われるように、健全な収益サイクルを持つ企業に対しても、どのような「価値創造を行なうのか」という目的が問われることになります。有馬利男氏は、「経済的価値」だけではなく、「社会的価値」、「人間的価値」をも総合したものとして「企業品質」を定義し、より高い「企業品質」を実現させる努力をすべきだと話されています。(「ウェッジ」2006年8月号より)

 この「企業品質」という言葉は実に奥深いものがあると思います。    
当社の高調波診断器「KSシリーズ」も、今迄のもの以上にユニークな機能やサービスを具備することで卓越した商品となります。
「他社の追随を許さない高い価値を創造する」ことは、当社に課せられた使命でもあり、社会にとって有用な価値を生み出すものだと思っています。
それを実現するには新しい発想による変革、すなわち「イノベーション」が不可欠であり、それによって「企業品質」が高められるのです。当社もこの「企業品質」を新しい時代の企業価値観として育ててゆければと思います。
そしてこの「企業品質」を高め、「社会に有用な価値」を創出し、提供してゆくことにより、更に高い「市場価値」が生まれることになると思います。今は正に「価値競争」の時代に入っているのです。

 

             2006年8月2日

 

来月のメッセージも是非ご覧ください
2006年7月3日(月)
KS60703

7月の社長メッセージ                      
持続的発展が可能な社会への転換 〜救世主は3E〜
当社はこの度「エイテック環境理念」に則り、ISO14001(環境マネジメントシステム)に準拠したKES(京都・環境マネジメントシステム・スタンダード)ステップ2認証を取得しました(登録番号KES2−0248)。これも社員全員参加による地球環境保全への取組み姿勢とその効果が高く評価されたもので、エイテック第2四半期の始まりに当たり喜ばしい幕明けとなりました。ここで、このKESステップ2認証を機に、持続的発展が可能な社会への転換の時代にするための基本原則が、次のような五つに集約できると考えられるので、これらを留意してくださればと思います。

(1)地球生態系の保全

 地球上には人間だけでなく、他の生物も数多く住んでおり、それらはみな相互に依存し合って、生態系という一つのシステムを作っています。このシステム全体の保全、即ち、「人間と自然の共生」という原則を守る姿勢が必要です。

(2)地球(環境・資源)の有限性の自覚

 例えば、大気圏は明らかに無限に広がっているわけではありません。従って、そこに汚染物質を急ピッチで排出すれば、分解がそれを上回らない限り、必ずその濃度が増大し、そしてある限界を越えると大きな問題が生じることになります。オゾンホールなども大気中のフロン濃度がある値より高くなった時に発生しているものです。

(3)二つの公正(世界の平等と世代を越えた平等)

 世界の平等、特に北と南、つまり先進工業国と発展途上国の間に不平等があってはならないことはよく強調されます。これは当然ですが、それと共に、世代を越えた平等も軽視してはなりません。例えば、現在の世代の都合で環境が汚染され、その影響が次世代の人々に及ぶということは絶対に許されてはならないのです。

(4)商品の「ゆりかごから墓場まで」の安全性

 これは、我々メーカ企業が留意しなければならない原則です。即ち、商品の生産、使用、廃棄に至るすべての段階において有害物質が環境を汚染するようなことがあってはならないのです。

(5)予防的アプローチの重視

 リオ宣言にも記されている予防的アプローチの原則を重視することが大切です。地球温暖化問題のような地球規模の環境破壊の予測には、ある程度の不確実性が含まれるのを避けることはできません。しかし、すべてが科学的に明らかになった時には対策が手後れになる可能性も強いので、このような問題に対しては、若干の不確実性があっても、最悪の結果が生ずることを想定して、それへの対策を講ずるべきであるというのが予防的アプローチです。

以上のような原則に基づいて地球と人類を守る努力を積み重ね、「持続的発展が可能な社会への転換の時代」にするためにも、今後は3E(経済成長、エネルギー需給、地球環境)の同時達成が必要なのです。                        


来月のメッセージも是非ご覧下さい                2006年7月3日